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あしたから出版社 / 島田 潤一郎

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ぼくは、別にお金がほしくて、出版社をはじめたわけではないのである(中略)
ぼくは、ケンが死んで、叔父と叔母のこころを励ましたくて、さらにいえば、自分の人生が一回終わったような気持ちで、開き直って、この会社をはじめた。
だとすれば、たとえ全然売れなくても、自分にとって、意味のある本だけを出版すべきなのだ。
ぼくの人生は、きっと、ぼくが思っているよりずっと短いのだから、ぼくは自分が好きなやりたいことだけに全力を注ぐべきなのだ。
そんなの、当たり前じゃないか。

ー 本書 p95より

......

【店主のひとこと】

「そんなの、当たり前じゃないか。」の部分に、そうだそうだと頷き返したくなるが、この当たり前に思えることを実際にやり通すまでには、ためらいや迷いもあったはずだと思う。
いざ現場に立ち、お金のことで頭を悩ませるようになり、心がキュウっと締め付けられる思いをしているうちに、「当たり前」だった初志が、さも難しいことのように感じられてくる。
不安から早く解放されたくて、「当たり前」だった志を、お金と引き換えそうになる機会は、僕にもあった。でも、その度に、「自分がいいと思えるようにやろう」と決断し、実際にそうしてきたからこそ、いま僕は、自分の仕事が嫌いにならずに済んでいるし、「やりたいことをやれている」と思えている。

僕が知識も経験もツテもない中、初めての商品である「ほめほめノート」を作ったときも、本書で島田さんがされているように、たくさんの店を回り、ヒントになるようなノートを探し回った。けれど、どれも違う気がした。
ある日、仕事のついでに立ち寄った下北沢の本屋で、一冊の本と出会った。棚から抜き、表紙を手に取った瞬間、雷に打たれたように体が反応し、「これだ」と分かった。
「この本のような佇まいを目指そう。まっすぐに、自分がいいと心から思えるものを作ろう。」

その本とは、夏葉社が手がけた『さよならのあとで』。今でも、手に取れば、初志を思い出させてくれる、お守りのような本として、仕事部屋の本棚に大事にしまってある。

……

島田 潤一郎
1976年高知県生まれ、東京育ち。日本大学商学部会計学科卒業。大学卒業後、アルバイトや派遣社員をしながら小説家を目指していたが、方向転換。2009年9月に出版社・夏葉社を東京の吉祥寺で創業した。著書に『古くてあたらしい仕事』(新潮社)、『父と子の絆』(アルテスパブリッシング)、『90年代の若者たち』『本屋さんしか行きたいとこがない』(岬書店)がある。

……

出版社:筑摩書房
サイズ:文庫判 336ページ
発行日:2022/06/13

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